2025年2月16日日曜日

読書会『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件』

 

読書会『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件』(城山三郎 著)を行いました。



明治時代。栃木県・足尾銅山の鉱毒で甚大な被害を受け、反対運動の急先鋒となった谷中(やなか)村は、絶体絶命の危機にあった。

銅山の資本家と結託した政府が、村の土地を買収し、遊水地として沈めようとしていた。

反対運動の指導者・田中正造は、村を守るため、政治権力に法廷での対決を挑む。だが、それは果てしなく、苦難に満ちた闘いだった。

日本最初の公害闘争を巡り、権力の横暴に不撓不屈の精神で立ち向かった人々を描いた伝記文学。



↓ 感想

・十年以上前に読んだ時は、内容が難しくて理解できなかった。読み返したら、とても粗削りな印象を受けた。

・すごい小説だと思った。為政者の横暴を感じた。

・全編にわたり、正造と残留民たちの気持ちのつながりが描かれていて、追いやられる村民たちがどうなるのかドキドキしながら読んだ。

・とても優れた共同体のリーダーで、民衆を率いて道を切り開き、法律でもって立ち向かった、公害運動の原点。

・刊行当時(1962)は、田中正造の存在はほとんど知られていなかった。作者の存在の大きさを感じた。

・当時の時代背景を知ってから読むと、話がわかりやすくなった。救いのない話だが、現代にも通じる。

・正造と宗三郎(作中の人物)の考え方にずれがあり、正造が宗三郎を東京に置き去りにしたエピソードが印象的。

・大学教員時代だった当時の作家性の揺れが表れている。芥川賞を狙っていたが、直木賞を受賞した以後の作品からは描けない作風。

 



2025年1月19日日曜日

読書会「谷川俊太郎の詩を語り合う会」

2025年1月19日(日)

読書会「谷川俊太郎の詩を語り合う会」を行いました。

参加者がお気に入りの詩を朗読して、その詩について語りました。




『すこやかに おだやかに しなやかに』より「こころの色」、『ことばあそびうた また』より「かぞえうた」、「感謝」、「ただ生きる」、『詩の本』より「いなくならない 茨木のり子さんに」、
『夜のミッキー・マウス』より「永瀬清子さんのちゃぶだい」、「二十億光年の孤独」、「ミライノコドモ」、「そのあと」、『クレーの絵本』より「死と炎」、「もこもこもこ」、「死んでくれた」、「おばあちゃんとひろこ」、「朝のリレー」、「最後のニュース」(歌・井上陽水)、『その世とこの世』(ブレイディみかことの往復書簡)、『ららら 星のかなた』(伊藤比呂美との対談集)



参加者ひとりひとりが、谷川俊太郎の詩に想い入れがあり、そのエピソードが個性的で、聞いていてとても楽しかったです。

・仏教の経典に着想を得た自由詩がとても心に入りやすかった。
・子どもにも親しみやすい言葉だが、実は大人に向けたメッセージかもしれない。
・父親の影響で、優れた詩に触れる機会に恵まれていた。
・幼い頃に孤独を感じていたので、詩に共感して心を救われた。
・解釈が難しい詩があるが、生と死に向き合った作品もあり、考えさせられる。
・詩を読むことで、視点を変えて新しい方向を見てごらん、と伝えてくれている。
・言葉が次から次へと浮かんできて、肉体そのものから詩が出ている。
・詩から肯定的、楽観主義を感じる。




2016年12月に、あいち文学フォーラム主催で「谷川俊太郎・北川透 <ミライノコドモ>へ詩の元気を! 対話」を開催した時のことも多く思い出されて、とても感慨深い読書会でした。

↓ 2016年12月10日 ブログ記事