2016年7月26日火曜日

文学散歩・津具探訪 ~佐々木味津三ときらきら文庫~

2016724日(日)
二葉館の読書会のイベントで、愛知県の奥三河・津具村(北設楽郡 設楽町 津具)への文学散歩ツアーに参加しました。
津具村出身の小説家・佐々木味津三(ささき みつぞう)の探訪と、きらきら文庫を訪ねる日帰りの旅です。
津具在住の作家・金田喜兵衛(かなだ きひょうえ)氏の案内のもと、
まずは「津具の七賢人」について紹介されました。


長谷川悟石(書家)、熊谷弘(裁判官)、村松乙彦(日本画家)、
佐々木味津三(小説家)、夏目一平(郷土史家)、中村明人(軍人)
と、津具の文化に貢献した人物を紹介されました。

次に、文化資料センターへ赴き、津具や佐々木味津三について
学芸員とともに、さらに詳しい説明を受けました。














佐々木味津三や、「旗本退屈男」で主演を演じた市川右太衛門ゆかりの資料が展示されていました。
金田氏は『佐々木味津三評伝 それでも書く』を著しており、
佐々木味津三の代表作である大衆文芸「右門捕物帳」「旗本退屈男」の解説や、
若き日のエピソードや妻・克子への思いなどを解説されました。
その後、すぐ近くにある佐々木味津三の生家(現在は無人)を訪ねました。




おいしい昼食をはさみ、



向かった先は、「きらきら文庫」です。



家主の渡邊満洲子さんが、こどもたちとの交流と母親の子育てのために開放した小さな図書室です。
津具語り会の方々による絵本の朗読がありました。







「キャベツくん」(長新太)、「きょうはマラカスのひ」(樋勝朋巳)、「はらぺこあおむし」の歌と、
とてもあたたかな雰囲気で、聞いていると心がおだやかに感じられます。



いっしょに振る舞ってくださったトマトやとうもろこしがとても美味しかったです。





地元のこどもたちとの交流を通じて、本に親しむことの素晴らしさ、
読み聞かせ活動をすることで、自分たちもいきいきと暮らすことの楽しさは、
語りの会の方々のあたたかい笑顔を通じて、とても心地よく伝わりました。









本を通じて、貴重な出会いと、心ゆたかな時間が生まれる。
「本との出会い、豊かな時間」とは、名古屋の正文館書店のキャッチフレーズですが、
まさにその言葉がよく似合う、そんな一日でした。







2016年7月5日火曜日

坪内逍遥ゆかりの地をめぐる文学散歩

2016年7月3日(日)

あいち文学フォーラム主催で、文学散歩を行いました。
日本の近代文学に多大な影響を与えた人物・坪内逍遥(1859-1935)をめぐる旅で、
名古屋から美濃加茂へ、逍遥ゆかりの地をたどります。


愛知英語学校址
現在は中区・丸の内の日本郵政名古屋ビル(解体予定)で、
外国人教師の授業でシェイクスピアのハムレットに出会い、
それがシェイクスピアの翻訳、全集刊行へとつながります。



貸本屋「大惣」址
中区・錦
明治維新の当時、最大の貸本屋として栄えており、
10歳だった勇蔵少年(逍遥)は、毎日のように通いつめ、
後年「心の故郷であったと言ってよい」、と追憶しています。



岐阜県へ。
美濃加茂駅・逍遥像
 


おいしい昼食



美濃加茂ミュージアム
 
美濃加茂では、坪内逍遥とならんで
偉大な業績を残した歴史学者・津田左右吉についても学びます。



展望台からの眺め
               



津田左右吉 旧居
 




太田宿 近辺
 



旧太田脇本陣 林家
 


逍遥の親友であった豪商・林小一郎は、政友会の代議士として交友関係も広く、
板垣退助や柳原白蓮などが宿泊しました。



太田小学校 逍遥顕彰碑



太田代官所址 虚空蔵堂のムクノキ
 
この陣屋内の役宅で逍遥は生まれました。
当時、逍遥の父は太田代官所の実務官僚のトップで、
水戸天狗党が太田宿を通過する際、難しい判断に迫られ、
冷静な対処をして事なきを得ました。

当時6歳だった逍遥は、水戸の藩士に頭を撫でられ言葉をかけられた、
と書き残されています。
60歳で帰郷したとき、妻とともにこの木の前で記念撮影をしました。



ふたたび名古屋へ。
名古屋駅近く 坪内逍遥 旧居址
逍遥は10歳から18歳まで、ここで過ごしました。



実際に現地を訪ね、その人がどんな生活をしたのか、
その人がどんな思いをしていたのか。

さまざまな思いを馳せる一日でした。