2019年11月24日日曜日

南吉さんの世界へようこそ~朗読・語り・歌を楽しみましょう~


20191123日(土)



名古屋市・大須の阿弥陀寺にて、あいち文学フォーラム主催イベント

「南吉さんの世界にようこそ ~朗読・語り・歌を楽しみましょう~」を行いました。





第一部は「朗読って楽しいです!」





参加者による、南吉作品の朗読を行いました。



「うぐいすをふけば」
<この うぐいすは おかあさんうぐいすで、せんだってのこと、ぼうやの うぐいすを なくしたので、たいへん かなしんで いたのでした。 それで、この うぐいすは、おかあさんを なくした こどもの ふく、かなしい うぐいすぶえの おとを きくと、ぼうやのことを おもいだしました。>




「お母さんたち」
<牝牛と小鳥は、一生けんめいに習いましたが、それでも覚えられないので おしまいには いやになってしまいました。けれど蛙が、「子守歌を知らないでどうして赤ん坊が育てられましょう。」といいますので、また元気を出して、「げっ げっ げっ」と習うのでした。そしてそれは夕方、風が涼しくなる頃までつづきました。>




「去年の木」
<小鳥は、ランプの火をじっとみつめておりました。それから、去年の歌をうたって火にきかせてやりました。火はゆらゆらとゆらめいて、こころからよろこんでいるようにみえました。 歌をうたってしまうと、小鳥はまたじっとランプの火をみていました。それからどこかへとんでいってしまいました。>




「こぞうさんのおきょう」
<こぞうさんは だんかへ いきました。そして、うさぎの おしえて くれたように、ほとけさまの まえで、 
むこうの ほそみち ぼたんが さいた  さいた さいた ぼたんが さいた
と かわいい こえで うたいました。 きいて いた ひとびとは びっくり して 目を ぱちくり させました。 それから くすくす わらいだしました。 こんな かわいい  おきょうは きいた ことが ありません。>



「赤いろうそく」
<さて夜になりました。みんなは胸をおどらせて山のてっぺんにやって行きました。猿はもう赤いろうそくを木の枝にくくりつけてみんなの来るのを待っていました。 いよいよこれから花火を打ち上げることになりました。しかし困ったことが出来ました。と申しますのは、誰も花火に火をつけようとしなかったからです。みんな花火を見ることは好きでしたが火をつけにいくことは、好きでなかったのであります。>




「あめだま」
<「あめ玉をだせ。」とさむらいはいいました。母さんはおそるおそるあめ玉をさしだしました。さむらいはそれを舟のへりにのせ、刀でぱちんと二つにわりました。そして、「そオれ。」とふたりの子どもにわけてやりました。それから、またもとのところにかえって、こっくりこっくりねむりはじめました。>




「小さい太郎の悲しみ」


<或る悲しみは泣くことができます。泣いて消すことができます。しかし或る悲しみは泣くことができません。泣いたって、どうしたって消すことはできないのです。いま、小さい太郎の胸にひろがった悲しみは泣くことのできない悲しみでした。>




詩「島」
<島で、或あさ、鯨がとれた。 どこの家(うち)でも鯨を食べた。 鬚(ひげ)は、呻(うな)りに、売られていった。 りらら、鯨油(あぶら)は、ランプで燃えた。 鯨の話が、どこでもされた。 島は、小さな、まづしい村だ。>




「手袋を買いに」
<「母ちゃん、人間ってちっともこわかないや。」「どうして?」「坊、まちがえてほんとうのお手々出しちゃったの。でも帽子屋さん、つかまえやしなかったもの。ちゃんとこんないい手袋くれたもの。」
といって、手袋のはまった両手をパンパンやってみせました。お母さん狐は、「まあ!」とあきれましたが、「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら。」とつぶやきました。>






第二部は「お話と歌で広がる南吉の世界」



ストーリーテラーとして、小野敬子さん、左近玲子さん、ギターと歌で左近治樹さんをお招きして、お話と自身による作詞作曲の歌を披露されました。









その後、ゲスト3人へのショートインタビューを行いました。




新美南吉記念館で毎月第四日曜日に行う歌とお話の会は、もうすぐ200回を迎えるそうです。




第三部は「南吉の詩をみんなで歌いましょう」





詩・新美南吉 作曲・大中恩の「貝殻」を参加者全員で歌いました。





南吉愛にあふれる人たちによる朗読と歌は、とてもこころ愉しい時間でした。






来月1214日(土)は、東別院イーブルなごやにて、講演会「南吉さんに会いに来て!」があります。

新美南吉の世界をもっと深く知りたい方は、ぜひご参加ください。お待ちしております。


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